カラフルデザイン広報企画部です。
不動産購入や建築計画を考える上で、「建築基準法第42条2項道路」、いわゆる「2項道路」の知識は非常に重要です。
特に狭い道路に接する敷地では、セットバックなど特有の規定が影響するため、その仕組みや注意点を正しく理解することが欠かせません。
ここでは、2項道路の概要から、購入時に気をつけるべきポイントを徹底的に解説します。
1. 2項道路とは?
2項道路の要件
・基準時に存在する道路:基準時とは昭和25年11月23日の建築基準法施行日、または都市計画区域に指定された日を指します。
・幅員が4m未満:幅員が狭い道路が対象となります。
・既存の建物が建ち並んでいる:周囲に建物があることが条件です。
・特定行政庁が定めた基準を満たしている:認定基準をクリアしている必要があります。
2. セットバックとは?
セットバックが必要な場面
・新築
・建て替え
・増改築や大規模リフォーム
これらの場合には建築確認申請が必要となり、セットバックを行わないと工事の許可が下りません。
3. セットバック物件に関する注意点
注意点1:建て替えやリフォームの制約
セットバック物件の最大の注意点は、建て替えやリフォーム時にセットバックを行わなければならないことです。
建築確認申請では、工事内容が建築基準法に適合しているかどうかを審査され、セットバックが不十分だと許可が下りません。
注意点2:生活への影響
セットバックを行わない場合でも、道路が狭いままでは以下のような問題が生じます。
- 道路が狭いままの状態で生活することになり、車の出し入れが困難になる場合があります。
- 緊急車両の通行に支障をきたす可能性があるため、防災面でのリスクが増します。
注意点3:工事費用は自己負担
セットバックの工事費用は基本的に自己負担となります。境界線の整備や建物の解体が必要な場合は、高額な費用が発生する可能性があります。自治体によっては助成金が出る場合もあるため、購入前に確認しておくと良いでしょう。
注意点4:「セットバックした部分」は自分で使えない
セットバックした部分は、法律上「道路」として扱われるため、以下のような私的利用は認められません。
・フェンスや塀を設置する
・花壇を置く
・車を停める
例えば、100平方メートルの土地を購入した場合でも、20平方メートルのセットバックが必要であれば、実際に利用できるのは80平方メートルとなります。また、建ぺい率や容積率もセットバック後の面積を基準に計算されるため、十分な広さが確保できるか確認することが重要です。
4. セットバック物件を購入する際の確認ポイント
1. 建ぺい率・容積率の確認
セットバック後の土地面積を基準に建ぺい率や容積率が計算されるため、理想の建築計画が可能かどうかを事前に確認しましょう。例えば、建ぺい率が上限いっぱいの建物を建てる予定の場合、セットバック後の土地では建築不可能となる可能性があります。
2. セットバック工事費用の確認
セットバックに伴う工事費用は自己負担となります。簡易な工事であれば数十万円程度で済む場合もありますが、建物の解体を伴う場合には100万円以上かかることもあります。
3. 税制優遇の確認
セットバック部分は固定資産税や都市計画税が非課税になるケースがあります。非課税措置を受けるには役所への申告が必要なため、購入後は速やかに手続きを進めましょう。
4. 現地調査の重要性
物件購入前には現地を訪れ、境界線やセットバックの状況を確認してください。説明されているセットバック済みの内容と現況が異なる場合、追加の工事が必要になることがあります。不安があれば、不動産業者や自治体に問い合わせましょう。
5. セットバック物件のメリットとデメリット
・割安な価格:セットバック物件は市場価格が低く設定される傾向があり、コストパフォーマンスが高い。
・十分な広さを確保できる場合はお得:セットバック後も理想的な建築が可能であれば、割安な条件で良い土地を手に入れることができます。
6. 購入後に必要な手続き
・非課税申告
セットバック部分を非課税扱いにするには、役所に非課税適用申告書を提出する必要があります。土地の謄本や測量図などが必要となるため、購入後速やかに準備を進めましょう。
・土地の寄付・買い取り相談
セットバック部分を自治体に寄付または買い取ってもらえる場合があります。寄付が可能であれば、維持管理の負担を軽減できます。
セットバック規定のある2項道路に面した物件は、建築や生活面で特有の制約がありますが、その一方で割安な価格や税制優遇措置といった利点もあります。不動産購入時には、セットバック後の土地利用や工事費用を含めた総合的な判断が必要です。安全で快適な住環境を確保するため、購入前に十分な情報収集と専門家への相談を行い、後悔のない選択をしましょう。